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からだには希望がある

2015年9月21日、国連国際平和デー当日より、ゆる体操は、誰でも指導できるようになりました。
※これを「ゆる体操の全面的オープン化」と呼んでいます。

サイトを訪問された皆様へ
私たち人類すべての人々へ向けて

第9話 「ゆる体操」の活用・指導を全世界の人々にゆだねる

(2015.09.21 公開)

 ゆるイデオロギー、ゆるセオリー、ゆるプラクティス、ゆるケアサイズ、ゆる体操などは、すべてこのゆるという体系のなかに位置づけられるものであり、その体系の規模においてはインド発祥の心身行法の巨大体系であるヨガに並ぶ体系として、しかし他方、その内容においてはヨガとは全く異なる独自の新しい思想と理論と方法を整合的に有する体系として、50年の歳月をかけて、原理から体系全体の構成、そして各種の内的領域・内的体系と、それらを埋める1万点を越える数の個別方法を、創造、開発してまいりました。その中から、ゆる体操ならびにその周辺メソッドまでをも含んだゆるケアサイズの入門課程を本サイトを通し、皆様にお届けしたいと考えております。

 ところで、このゆる体操ですが、各々の方法は、一見すると楽で簡単なだけの体操にしか見えない上に、実際に初めての人が気軽に取り組んでも多くの場合に、かなりの程度の快適感と健康効果が容易に得られるように設計されています。しかるにその裏には、長年さらには生涯にわたり熱心に取り組むことで極めて奥深い上達が可能なように、科学的に周到な計算が施されています。そのため、先にも一部触れましたが、ゆる体操の指導を許可するにあたっては、ゆる体操に出会う人々のより多くがより高い効果を得られ、さらに深い上達への道を獲得できるように、開発元である私たちが徹底して指導者を育成し、その指導力とスキルの向上を図ってまいりました。日本では開発元が許可した正当な指導員資格を持つ公認指導員を除き、ゆる体操の指導を行うことを認めてこなかった、二つ目の理由はここにあったのです。これもゆる体操を学ぶ人々に、できるだけ質の高い学習環境を提供したいという、開発・普及を企図する者に欠くことのできない、強い思いがあったからでした。

 しかしながら、小さな島国である日本から、もっと大所高所に立ち、広く世界を見つめ、また日本国内だけでなく、世界各地に住む人々が抱える様々な身体的・精神的な問題や社会問題を考えたとき、日本以外の広大な地域でこそゆるケアサイズがより強く必要とされている状況を思うにつれ、世界中のより多くの人々、地域、組織、国家に、少しでも早期かつ迅速に、ゆるケアサイズをお役立ていただきたいという思いを、強く抱くようになったのです。私にとってその思いは、これまで日本で行ってきた指導資格制度を手厚く遵守しながらも、同時に、全世界に向けて、指導権を全面的にオープン化することを意味するものでした。

 

高岡英夫の著作のはじめに/あとがき

●『脳と体の疲れを取って健康になる 決定版 ゆる体操』はじめに

 運動科学・運動医学を専門とする私の研究所には、毎月50人を越す医師が、自らの疲労回復、健康開発や能力開発、あるいは運動医療の研究を目的に通ってきます。

 脳外科、消化器外科、循環器内科、整形外科から精神科、心療内科、家庭医(総合診療専門医)、そして公衆衛生領域にわたる、現在の医療のほぼすべての領域の医師が、ゆる体操を中心としたゆるケアサイズ(ゆるケア&エクササイズの略称表現で、多様な方法の複合的利用により体を緩め解きほぐすケアを基礎に置き、その上に病気治療・病気予防から高度な健康開発・能力開発までを目的に、体操法・呼吸法・筋トレなど多様なエクササイズを合理的に配置した方法の体系)を実践しています。いずれも、大学病院を含む拠点病院、さらに地域の中核をなすトップクリニック、一流企業などで活躍する優秀な医師たちです。もちろん、全員がゆるケアサイズの理解者であり、実技上のエキスパートでもあります。

 そうした医師たちの中で、10~20年以上にわたりトレーニングを積み、ゆるケアサイズに精通した12人に「ある社会の構成員全員がゆるケアサイズに理想的に取り組んだとしたら、三世代後には病障(病気・障害)の全リスクはどのくらいまで減少すると推測しますか?」とたずねてみたことがあります。

 さて読者のみなさんは、彼らの返した回答がどのくらいと予想されますか?

 その回答は「病障の全リスクは1割に減少する」というものでした。つまり、ゆるケアサイズによって社会の全メンバーが、病気・障害で苦しめられたり、仕事や能力アップの機会を奪われたり、介護を受けなければ生きられなくなったり、死期が早まったりする、そうしたリスクが9割はなくなるということなのです。そして、その「1割に減少する」という回答は、私がゆる体操をはじめとするゆるケアサイズを研究開発するに際して目標にした「病障リスク減少率9割」という数字と、完全に一致したのです。

 では、なぜ「病障リスク9割減」などという劇的な数値が、開発者である私と利用者である彼ら医師との間で、完全に一致することになったのでしょうか?

 その要因のひとつとして私と彼らの見解は、疲労の超回復ともいえるほどの、心と体、すべての脳組織、身体組織のあらゆる疲労に対する、徹底的・効率的な回復効果にあります。その効果には、本人が気づいていないほど、さらに本人が気づくことは不可能なほど潜在的で深部にたまった疲労まで、根こそぎ掘り起こして解消し切ってしまう、パフォーマンスのよさがあります。

 さらに彼らの共通する見解としては、脳と体の疲労が根こそぎ取れ、その機能が全面的にアップしたら、人はほとんど病気にならず、病気にかかったとしても軽く済み、ケガもほとんどしなくなるということ。また、心が快適で広くなることから他人を受け入れ協調できるようになり、心の余裕と疲労のない頭のおかげで、いかなる分野の能力も大幅にアップするというものでした。なにより、元気いっぱいになるので、無理に頑張らなくても、ついつい勉強、仕事、スポーツ、人助けをやりたくなってしまい、個人とその総体としての社会の活力は、どちらも最大化していくということです。

 もちろんやりたくなる対象には、ゆるケアサイズも含まれていますから、ゆるケアサイズをやればやるほど元気になってしまう、という良循環が生まれます。その結果、社会の構造と価値観は人の生命力を最大化する方向に根底からつくり変えられ、ほとんどの病気・障害はその“芽”以前の段階で消し去られるので、病気・障害リスクは1割にまで減少するというわけです。

 さて、ゆるケアサイズの中心を担うゆる体操は発表以来12年あまり経ちますが、今までは私どもの厳格な資格テストに合格した公認指導員以外は教えることができない、いわゆるクローズド制を取ってきました。

 しかし、12年あまりの長期にわたって指導を重ねてきた結果、ゆる体操がいかなる体操法やスポーツよりも、安全・容易で、かつ多方面の効果を持つこと、つまり万能といってよいほどの汎用性の高さを有することが確認できました。これを受けて、2015年9月21日の国連国際平和デーに合わせて、ゆる体操を中心とするゆるケアサイズの指導権を含む使用権を私たちの所有から解放することで“社会の公器”として、誰でも自分自身の責任において利用し、指導することができる、使用権・指導権のオープン制をはじめることになりました。

 本書は、ゆるケアサイズの使用権・指導権オープン化を期して、今日現在の時点で“社会の公器”となるほぼすべての方法、全212点を紹介した、ゆる体操を含めたゆるケアサイズ書籍の決定版です。

 本書は、日々悩まされている疲労をやさしく効率的に取って元気に暮らしたいという方、病弱であったり持病に悩まされていたりする方に向けて、様々なニーズに応える方法をわかりやすく解説しています。また、疲労など感じたことがないほど元気を自覚しながら、効率よく仕事や学業、趣味や特技の能力を格段に向上させたいという方、ほかの健康法やトレーニング、スポーツのパフォーマンスをさらに効率よく向上させたい方にも最適の内容が含まれています。さらにオリンピックで金メダルを取りたい、プロスポーツのトップに立ちたい、音楽・舞踊や演劇のトップになりたい、一生働き続け年金を頼りにせず介護も受けず元気いっぱいのまま生き切りたい、ゆるケアサイズをプロあるいはアマチュアとして指導したい、すでに指導しているほかの種目でもその指導効果を高めるためにゆるケアサイズを導入利用したいという方にも役立ちます。このほか、ゆるケアサイズの導入により、住民や社員の健康増進と高能力化をベースに 自治体や企業組織の強健化を図りたいという首長や経営者の方にも、ゆるケアサイズを導入もしくは研究したいという医師や研究者の方にも、すべてのご希望にお応えするために本書は最適の書籍であると信じています。

●『日本人が世界一になるためのサッカーゆるトレーニング55』はじめに

 この本は、サッカー日本代表がFIFAワールドカップで優勝するために書いた本である。

 ワールドカップ優勝の瞬間、そのピッチに立っていたいという夢をもつすべてのサッカー選手は、今すぐ、本書で紹介する「サッカーゆるトし-ニング」に取り組んでほしい。

 ここで紹介するトレーニングは、世界で初めて公開されるまったく新しいトレーニングも含めて全部で55種目。自宅で寝ころびながら気軽に始められて、10分程度の取り組みでも効果が実感できるメソッドから、リオネル・メッシ選手やクリスチアーノ・ロナウド選手といった世界のトップ・オプ・トップ(超一流)選手でなければ、とても完璧にはこなせない超難関メソッドまで幅広いレベルで厳選してある。

 小学生から日本代表選手まで、それぞれのレベルに合わせて取り組み、自分で空いた時間をつくっては日々継続することで世界のトップ選手をめざせるようになっている。特に、まだまだ筋肉の柔らかい小学生から高校生ぐらいの選手が正しいやり方で粘り強く取り組めば、長期的に大きな成果が出るはずだ。

 日本のサッカー界は、1993年にJリーグが誕生してから22年間、本当によく頑張ってきたと思っている。それまで1度もW杯に出場できなかった日本代表が、1998年W杯フランス大会で初出場を果たし、2002年日韓大会、2010年南アフリカ大会ではベスト16まで進出した。第一線で活躍してきた選手たちはもちろん、日本サッカー協会、全国で活動する指導者の方々、さらにトレーナーを始めとするすべての裏方の皆さんの日々の活動と努力には心から敬意を表したい。また絶えることなくどこまでも選手たちを支持し続けてくれているサポーターの皆さんにも、心から感謝したいと思う。こうした方々が誰一人欠けても、今日の日本サッカー界の盛り上がりはなかったと思う 。

 そのうえで、現在の日本代表は、すでにW杯での優勝をめざした戦いに入っている。これは、ブラジルやアルゼンチン、ドイツ、イタリア、スペイン、オランダといったサッカー大国と常に互角以上の戦いができるようになることだ。そのためには、日本代表にもバロンドールを獲得するトップ・オプ・トップ選手が必要だし、少なくとも代表メンバー23人のうち半分以上は世界のトップ選手が占めなければならない。

 世界のトップ選手がおよそ100人いるとすれば、そのうちFWが30人前後、MFが30人、DFが30人、そしてGKが10人ぐらいだろうか。この枠の中に、今後、日本の選手たちが何人も大きく育って入っていく必要がある。

 もちろん並大抵のことではない。この22年間、日本のサッカー界が総力をあげて努力してきても、世界のトップ選手は一人も現れていない。セリエAで不動のレギュラーだった中田英寿や長友佑都の例はあるが、彼らにしても、あれほど努力や苦労をしながら、それぞれの年代のMFやDFとして世界を代表する域には到達できていない。

 そこで提案したいのが、日々のトレーニングの根本からの見直しである。

 著者の高岡英夫は、長年、人類の最高の能力とはどういうもので、どうすればそれを身につけられるのかを研究してきた。その一環として、サッカーのトップ選手、トップ・オブ・トップ選手たちがどんな身体の使い方をしていて、日本の選手たちとはどう違うのか。そして、身体の使い方の違いが、一つ一つのプレーにどう影響しているのか、そして一つ一つのプレーがチームの総力としてどうつながっていくのか。それらを科学的に詳細に分析したうえで、世界のトップ選手たちと並び、さらにはそれ以上のプレーができるようになるための方法として、徹底的に練り上げたのがここで紹介するトレーニングである。

 世界のトップ選手になりたい人は、普段のチーム練習に加えて、ぜひ、この「サッカーゆるトレーニング」にも取り組んでほしい。世界のトップ選手になるためには最高にして最短のトレーニング法だと確信している。と同時に、このトレーニングが日本のサッカー界全体に広がり、世界のトップ選手たちの身体の使い方が日本でも当たり前になる日が来ることを心より願っている。

高岡英夫+松井浩

●『日本人が世界一になるためのサッカーゆるトレーニング55』おわりに

 トレーニング本にしては、解説の文章が多い本だったでしょう。

 でも、その解説を丁寧に読んでもらえれば、「サッカーゆるトレ一二ング」の一つ一つが、世界のトップ選手の身体の使い方やプレーに直結していることがわかるでしょう。

 解説の中でも触れているけれど、世界のトップ選手たちに共通する身体の使い方は、まずもって、もも裏のアクセル筋をしっかり使って常に高重心を保ち、高スピードでプレーしていることだよ。そして、全身の筋肉が柔らかく、センターが通っていること。さらに、体幹は筒状にしっかりしながら、特に足腰がゆるんでいることだ。

 とりわけサッカー大国では、高重心や高スピード、センター、足腰のゆるみが、サッカー文化の根幹的な特徴になっているんだね。代表クラスの選手から草サッカーの選手まで、そうした特徴を生かしたプレーをしようとするし、指導者もそうした視点でプレーや戦術を指導していく。そして、サッカーファンも、そうした特徴を大きな判断基準としてゲームの流れや一つ一つのプレーを見ている。

 ある時代や分野において、多くの人々が共有する物事の捉え方や考え方を「パラダイム」というよ。つまり、サッカー大国では、高重心や高スピード、センター、足腰のゆるみがパラダイムとなっているんだ。高岡は、こうしたサッカー大国に共通する価値基準や捉え方を「トップ・パラダイム」と呼んでいる。

 それに対して、日本のサッカー界を支配する「ジャパン・パラダイム(Jパラダイム)」が、本文でも解説した通り、「低重心、低スピード、踏ん張る、頑張る、足腰ガッシリ」だよね。もも前の前側や外側、腹筋、さらには腰周りに無駄な力を入れながら踏ん張ったり、根性で頑張ったりする。トップ・パラダイムとは正反対の価値基準で、高岡は、このギャップにこそ、サッカー大国になれない日本サッカー界の苦悩があると考えているんだ。

 両者がどれぐらい違うかといえば、「寝ころんで上体を起こす筋トレをするよ。さあ、始め」と指示された時、サッカー大国の選手がうつ伏せになって上体を起こす「背筋トレ」をするのに対して、日本選手はあおむけに寝て「腹筋トレ」をするようなもんだ。もも裏に頼る動きと、もも前に頼る動きというのは、それぐらい違うんだ。もっといえば、サッカー大国では地球が回っているという「地動説」が常識なのに対して、日本選手はかたくなに「天動説」を信じ込んでいるようなものと言っていいよ。

 だからこそ思うのは、本田選手や香川選手、長友選手、大迫選手たちが、よくヨーロッパでよく活躍しているなということだね。生活習慣とか、言葉とか、そういう違いもあるけど、サッカ一の場合、根幹的な価値基準から違っている。 試合をしても、練習をしても、はっきりとした理由がわからず、戸惑ったり、悔しい思いをすることが多いだろうね。マスコミやサポーターからも、サッカー大国のトップ・パラダイムで容赦なく叩かれるからね。彼らは、「Jパラダイム」の代表として、サッカー大国へ乗り込み、果敢に戦っている。そういう姿を見ていると、同じ日本人として心の底から「大変だろうな、本当によくやっているよ」と涙が出るくらいだよ。

 日本のサッカー界が、本気でW杯優勝をめざすなら、サッカー文化の根幹から変えていくべきだと思うんだよね。サッカー協会、代表クラスの選手はもちろん、すべてのアマチュア、草サッカ一の選手たち、全国の指導者、トレーナー、さらにはサッカーファンからジャーナリストまで、ブラジルやアルゼンチン、ドイツ、イタリア、スペインといったサッカー大国のパラダイムを共有する。つまり、「Jパラダイム」から「トップ・パラダイム」へ“パラダイム・シフト”をしていく大変革が必要だと思う。

 この本は、「Jパラダイム」から「トップ・パラダイム」へ“パラダイム・シフト”するために取り組む日々のトレーニングを、具体的に提示している。

 まずは、小学生から代表クラスまで、一人でも多くの選手がサッカーゆるトレーニングに取り組んでくれること。そして、一つでも多くのチ一ムで、日々のトレーニングにサッカーゆるトレを導入してくれること。さらには、日本サッカー協会が中心になって、日本のサッカー界全体でパラダイムを変えるように努力を始めること。こうした大変革がサッカー界で起きていけば、必ずや、近い将来、日本代表がW杯を制する日がやってくると信じているよ。

高岡英夫+松井浩